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旅ナカ対策:QRT使用による外国人受入れ体制

制作・開発
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K. Wozniak

インバウンドが勢いを盛り返す中、外国人観光客に向けたプロモーションやウェブサイトの多言語化はコロナ前の状態に戻りつつあります。そのため、Export Japanのメンバーも多くの自治体の方々とヒアリングを行う機会が増え、各自が持っている課題点についても全体図が少しずつ見えてきました。

旅マエの対策であれば、市場データ及び社内に所属しているネイティブスタッフの意見を踏まえ、多言語ウェブ制作の分野で、コンテンツ作成について提案できることが多くあります。なお、英語での広いリーチを誇るJapan Guideとの連携で、動画や記事作成をはじめ、観光客を引き寄せるためのプロモーションを行う選択肢もあります。

しかし、それらは全てウェブ上での対策です。既に来日されている外国人観光客が使用するのはパソコンではなく、スマホです。Google等の検索エンジンだけでなく、SNSやGoogleマップのようなアプリを通じて情報収集している方も大勢いるでしょう。

DXの必要性が訴えられている現在でも、ウェブサイトはインターネットという環境にとどまり、現場ではパンフレット等のアナログ対策、という考え方に縛られ、新しいソリューションが生まれない状況が続いています。例えば、多言語ウェブサイトは既にあり、様々なアプリでキャッシュレス対応が進んでいても、受け入れ体制がまだできていない、というお悩みを伺うことも多いです。

そこでExport Japanと株式会社PIJINのコラボレーションで生まれた旅ナカ対策の基本コンセプトを紹介させていただきたいと思います。

QR Translatorについて

QR Translatorとは看板や印刷物をとても簡単に多言語化出来る世界で初めてのソリューションです。 QRコードを看板・パンフレット等に設置したり、文書と一緒に印刷することで、それを携帯端末で読み取ったユーザーの端末の言語設定によって、翻訳された文章が表示されます。

ここまでは基本の説明となりますが、それだけではありません。コードの中身は単純なテキストデータだけでなく、ウェブサイトと同様に、CSSやHTMLデータを埋め込むことができます。そのため、テキストや画像だけでなく、地図、リンク、YouTube上の動画など、多言語での様々な情報掲載が可能となります。

多言語ウェブサイトを既にお持ちであれば、そのサイトのリンクを含めたQRコードを印刷すれば同じ効果に繋がるのではないか?と思われる方もいるかもしれません。通常のQRコードの場合、言語別でコードを発行する必要があり、小さいスペースでの活用が難しくなります。しかし、QR Translatorであれば、一つのQRコードに複数の言語を紐づけることが可能です。さらに読み取りの際にデータを取ることもできます。(その詳細については「POINT③」の段落をご参照ください。)

リアルとインターネットの架け橋

サンプルコードの上部

看板に設置できる、というと観光案内の多言語化が思い浮かびますが、受入れ体制の対策としてそれで十分でしょうか?ここでExport Japanの登場です。得意分野のコンテンツ作成を活かし、旅ナカに役立つ情報のまとめ方をサンプルコードの事例を通じて紹介させていただきます。

POINT ①
公式ウェブサイトと繋がりましょう!

QR Translatorの中身はHTMLで作成が可能です。公式サイトを持っていなくても、モバイル向けのミニサイトのような使い方が当然できますが、既にウェブサイトがあれば、そちらへのリンク(画像の真ん中にあるボタン)を掲載すれば、旅ナカの外国人観光客からのアクセスを増やすことができます。

また、公式サイトが、日本語、または日・英のみ、という場合でも、サイトの言語に応じて、ボタン・リンクと一緒に(Japanese)等の多言語文言を掲載しておけば、より詳細な情報収集という目的から、情報の出どころの確認という役割にシフトできます。そして、同時に最も重要な案内は多言語の翻訳としてQRコード内に提供できるので、通常のウェブサイトよりも多くの言語対応がワンステップで可能となります。

POINT②
受入れ体制の改善

QR Translatorの実績からも、活用方法としてはやはり観光地の案内、看板の多言語化はすぐ浮かびますが、他にも情報が必要な場所が多くあります。

日本国内をよく1人で旅行している外国人として真っ先に思い浮かぶのは旅行先のバス停や駅です。日本には多くの鉄道会社やバス会社があります。特に初めて日本に来た際、アクセスを調べると線の名前等は出てきても、例えば、「山手線」がJRの線路だとはすぐに結びつかないことがあります。Googleマップ等のアプリで時刻表がでてきても、チケットや乗り方についての情報はどこで探せばいいのか分かりません。(特にバスは電車よりも路線が複雑で乗り方も分かりづらいです。)そのため、各路線に多言語ウェブサイトがあっても、そのサイトへアクセスできるまでに時間がかかったりします。

そこで、もし現地で直接バス停等にQRコードがついていれば、調べるのがより便利になります。なお、交通機関の多言語サイトがない場合は、せめて乗り方(前払い・後払い・ICカード使用の可不可)等をQRコード内に多言語化すれば、それだけで日本中の交通機関の使い方がスムーズになっていくでしょう。自転車のレンタル等のサービスにおいても、その使い方や注意すべき点の多言語化があれば、外国人もより積極的に使えるようになるでしょう。また、交通機関のお得に使えるチケットやパスの情報もそのまま掲載できるので、多くのスポットを訪れる機会に繋がるでしょう。

さて、サンプルの画像ではサーモンピンクのボタンですが、あえて全体のデザインと異なる色合いで目立たせています。これは災害の際、アクセスできるサイトへのボタンです。サンプルでは交通情報になりますが、リンク先は自由に設定できます。もしパンフレット等すでにあるようでしたら、それを別のコードで再現し、多言語化することも可能なので、日本人・外国人問わず、観光客の安全対策にも活用できます。

最後に、日帰りの観光客が多いが、それが滞在に繋がらないという課題への対策について述べさせていただきます。細かく旅行の計画を立てている観光客もいる一方で、旅先で滞在できる場所を探す人もいます。特に、自転車で移動できる地域だと、体力が許す限り移動してから現地で宿を探す人も少なくないと思います。(バスや電車を逃してしまうケースを考えると宿泊が必要になるケースは更に多くなるでしょう。)そのような場合、サンプルコードのように、予約サイトへのリンクや外国人の受け入れが可能な宿泊施設へのリンクを掲載することも受け入れ体制の改善につながると思われます。

その他にも、パンフレットのPDFへのリンクをはじめ、地図やSNSのリンク等、掲載可能な情報が自由にカスタマイズできるので、それぞれの地域が持っている課題や状況に応じて、ネイティブスタッフのコンサルティングを参考にしつつ、有効活用できるQRコードの作成が可能になります。そして、そのQRコードの内容と配置をおすすめのモデルコース等と組み合わせて工夫をすれば、更にイメージ通りの観光客案内に繋がるでしょう。

POINT③
外国人観光客の意見もその場で回収

一方的に情報提供するだけでも、ウェブサイトへのアクセスやチケット販売、現地での滞在へ繋がり、得るものは多いです。更に一歩を踏み出して、アンケート機能によって観光客の声を集めることもできます。

選択式の回答と自由に記入できるフォームが使用可能なQR Translatorなら、読み取った人がそのままご自分の言語で回答できます。また、データの取得については、多言語の回答が保存されるだけでなく、それが機械翻訳によって自動的に日本語化されるため、リアルタイムで簡単に確認できます。

なお、質問の内容は自由で、QRコードを変えずに、中身だけを変更できるので、状況に合わせての情報提供や改善に必要な意見の収集が簡単にできます。

アンケート機能を使う際、回答が同じ英語でも、出身国について質問を設定すれば、その情報が回収できます。しかし、アンケートを使わなくても自動で取れるデータも多くあります。その中でやはり最も重要なのは携帯端末の設定言語の情報です。例えば、多言語ウェブサイトよりも多くの言語でQRコードを作成し、読み取り回数が多い言語がわかれば、将来的にその言語でのプロモーションが有効になることが分かりますし、逆に行ってきたプロモーションによって、その言語の観光客が増えているかどうか、ということも確認できるようになります。

なお、上記の地図画像のように、どこで読み込まれたか場所を確認できるため、設置されたスポットで実際に読み込まれているかということも確認できます。コードの中身を変更せず、設置場所だけを工夫することで、より良いパフォーマンスを得られるかなど、低いコストで繰り返し様々なテストを行っていただけます。

まとめ

QR Translatorと聞くと、テキストと画像のみの簡単な内容の多言語化に向いているものと思われがちですが、実際は使い方次第で、可能性が無限になります。QRコード自体も、世界中に広がっているなか、使い方の説明や事前にアプリのダウンロードなども不要ですので、観光客にとって最も便利な観光地のDX化の第一歩ではないかと思われます。

もちろん、現地で多言語対応ができるガイドや人による対応ができれば、より親切で滞在中も好印象になりますが、そのような人材の手配はやはり難しいです。ですが、テクノロジーを使えば、受け入れ体制改善のためにできることはまだまだ多くあります。

また、その中でQR Translatorが役に立つ場面を考えてみるだけで楽しくなるので、上記のようなニーズがありましたら、まずは是非想像をしてみてください。