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フランスの新しいトレンド:サステナブルな旅の魅力

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N. Fukuda

フランス旅行の新たな潮流

年末年始にフランス、パリと南仏を巡る旅をしてきました。
特に年末のパリは、今までに見たことがないくらいの観光客で、街のあらゆる場所が活気に満ちていました。
私は30年で数十回フランスに旅行していますが、ここ数年のフランス観光のトレンドに少し変化が生じていることを感じています。それは、何と言っても「サステナビリティ」というキーワードに尽きると思います。以前は観光が主に文化や歴史、風景を楽しむことに重点を置かれていたのに対し、最近では環境への配慮が重要なテーマとして浮上してきています。

フランス観光におけるサステナビリティの重要性

フランスでは、観光業においてもサステナビリティを重視する動きが強化され、エコツーリズムや地域に根ざした旅行スタイルが注目を集めています。
例えば、観光地ではプラスチック削減、エネルギー効率の良い宿泊施設、地産地消の食材を使ったレストランが増加しています。観光客も、公共交通機関や自転車を選ぶようになり、より地球に優しい移動方法を意識するようになっています。

フランス観光は、単なる観光地巡りから「サステナブルな旅行」へと進化しており、その流れは今後ますます加速することでしょう。

南仏・トゥーロンの街を走るプチ・トラン
フランス各地や観光名所で見られるLe Petit Train(プチ・トラン)は、「小さな電車」を意味する蒸気機関車の形をした自動車で、町の名所を巡る観光用の乗り物です。
近年ではどの都市でも100%電気自動車が採用され、環境への配慮が進んでいます。

短距離飛行機利用制限と鉄道の重要性

フランス政府は、環境への負荷を軽減するため、短距離の飛行機利用を制限し、鉄道を利用した移動を促進しています。2023年5月には、鉄道で2時間半以内の代替手段がある航空路線の運航を禁止する法律が施行されました。この規制もあいまって、短距離移動の際には航空機ではなく鉄道が選ばれるようになり、環境に優しい旅行が促進されています。

フランスでは2023年5月、鉄道で2時間半以内の代替手段がある航空路線の運航を禁止する法律が施行されました

夜行列車や相乗りサービスが人気

また、ヨーロッパでは夜行列車や「BlaBlaCar」をはじめとする相乗りサービスが人気です。
夜行列車は安価でホテル代を節約できることから特に若者に支持されていますが、エコ意識の高い富裕層も「環境に優しい」という理由で選ぶことが増えてきました。私も先日の旅行で夜行列車を利用しましたが、家族や友人と一緒に一部屋を貸切るスタイルの人たちを多く見かけました。

長時間の移動は日本からフランスまでのフライトだけでも14時間を要するため、さらに長時間の鉄道移動は避けがちですが、宿泊費の高騰もあり、ホテル代を節約しながら移動する手段としてとても有益です。

サイクルツーリズムの推進

パリではレンタサイクルが早期に導入され、自転車専用レーンの新設や自動車の速度制限強化が進んでおり、特にコロナ禍以降、自転車利用の流行が加速しています。自転車は、環境に優しい移動手段として再評価されています。

パリ市内にはCO2排出量や通過した自転車の数をリアルタイムで示すデジタルパネルが設置され、市民の環境意識を高めています。

フランスのエコ意識と日常的な取り組み

私自身、前職のフランス企業で「エコポイント」を獲得できるコンクールに参加した経験があります。例えば、「ランチを持参する」「ローカルフードを食べる」「ごみを分別する」などの日常的な行動がエコ意識を高め、無理なく環境配慮を促進する仕組みが整っています。
フランスは、脱プラスチックの取り組みでも先駆的で、2020年には使い捨てプラスチック製品の販売が全面的に禁止されるなど、環境への配慮が日常生活にも深く根付いています。

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フランスは観光だけでなく、日常生活からもエコ意識が高い国です。
旅行者としてその意識に触れることができる貴重な体験となり、私自身も「サステナブルな旅行」の重要性を再認識しました。今後、フランスのような国々の取り組みが広がり、世界中で環境問題への意識がさらに高まることを期待しています。

フランスではごみの分別が厳しく定められています