サッカーから見える各国の事情
多文化情報Bon dia. 大阪本社 Webディレクターの黒崎です。
今、大阪オフィスにはフランス人が6人もいます。
社員2名+インターン4名。
ついに日本人よりも多くなりました。
私のデスクは両隣がフランス人なので、毎日、フランス語をステレオで聞きながら仕事をしています。
さらに、先日はオフィスに戻ると部屋にはフランス人しかいないという事案も発生し、
いよいよ日本にいることを忘れてしまいそうです。
とにかく、エクスポート・ジャパンは国際色を強くしながら、日々業務を行っています。
さて、そんなフランスで今月から大きなサッカーイベントが開催されることをご存知ですか?
UEFA EURO 2016(サッカー欧州選手権)です。
皆さんはワールドカップは名前を聞いたことがあると思います。
ワールドカップは世界中の国が参加してNo.1を決める大会です。
一方でこのEURO(ユーロ)は、ヨーロッパの国のみが参加する大会です。
ちなみに、これのアジア版がアジアカップです。
ワールドカップと同じく4年に1度開催されるEURO。
6/10の開幕試合を間近に控えフランスを始めヨーロッパの熱気は高まっています。
そのサッカーはスポーツとしての楽しみ方はもちろんですが、
サッカーを通して見えてくる各国のお国柄や事情を知れることも楽しみの一つです。
特にナショナルチーム(国の代表)の試合を見ていると、
国民性を反映したプレースタイル、国の背景、歴史、政治情勢、といった
様々な事情を知ることができます。
そこで、今回はそのいくつかを紹介したいと思います。
■ 国民性が表れるプレイスタイル
・手堅いサッカーのドイツ。
勤勉な国民と言われるドイツはサッカーの試合からも感じつことができます。
ドイツ代表の試合は手堅い試合運びが特徴。
国際大会でも大崩することは少なく、安定した結果を残しています。
・勇敢さ、闘争心を前面に出すイングランド(イギリス)
イングランドのファンは代表チームに勇敢さを求めます。
ブラジルの華麗なボールさばきとは対照的に
まるでラグビーのように体と体をぶつけあうサッカーにファンは拍手を送ります。
※なぜ、イギリスではなくイングランドと言っているかは、
説明すると長くなるので詳しくはこちらを参照ください。
イングランドとイギリスの違い!サッカー代表チームの謎
・気まぐれな芸術家のイタリア
レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロを産んだ国だけあって、
「ファンタジスタ」と呼ばえる天才肌のサッカー選手を多く輩出しています。
しかし、国際試合ではスロースターターでおしりに火がつかないと本気が出ないタイプなのか
成績は安定せず気まぐれな結果。
しかし、勝ち上がるときは毎回ドラマチックで、ドイツとは対照的な印象です。
■ 代表選手から見えてくる各国の移民事情
フランスの代表チームには黒人選手が珍しくありません。
一方で、北欧の国はほとんどが白人の選手です。
この違いは何が理由でしょうか?
これはフランスは移民が多いことと関係しています。
実はあの有名なフランスの英雄ジダンも、アルジェリア系の移民の血を引いており、
フランス代表は様々な背景を持つ選手が一体となって代表チームを構成しています。
他にもオランダやイングランドやイタリアでも黒人選手が増えてきており、
各国の移民事情が代表チームのメンバー構成からうかがい知ることができます。
■ 戦争による国の分裂
現在、日本代表の監督を務めているハリル・ホジッチ監督は現在のボスニア・ヘルツェゴビナの出身です。
しかし、彼が選手だったころはユーゴスラビア代表としてプレーをしていました。
それはハリル・ホジッチ監督が国籍を変えたからではなく、
母国が分裂して変わってしまったからです。
1991年から1993年にかけて崩壊したユーゴスラビアは
クロアチア、セルビア、スロベニアなどの国に分裂します。
その影響は当然サッカーの代表チームにも及んだため
「以前はボスニア・ヘルツェゴビナ代表だったけど途中からクロアチア代表」
という選手が存在するのです。
日本にいると想像しがたいですが、国の運命に翻弄された選手が数多くいます。
サッカーを違う側面から眺めてみると、国や世界の事情が見えてきます。
ちなみに、明日、日本代表がキリンカップ決勝で戦う相手は「ボスニア・ヘルツェゴビナ」
ユーゴスラビアから独立してできた国です。
そのような情報を知ってからサッカーを見ると、いつもと違った楽しみ方が出来るのではないでしょうか。