
欧米向けのB2BのSNS – LinkedInのポテンシャル
ローカライゼーション近年、グローバル展開を検討している企業が増えており、日英ウェブサイト制作やサイトの多言語化が一般的な取り組みとなっています。その中で、SNSと連携したプロモーションも珍しくなくなっていますが、期待通りの効果を得るためには、適切なメディア選定も重要です。インバウンド向けに製品を写真で見せる、観光系の情報を広める、趣味と結びつけるなど、toC(消費者向け)の戦略はさまざま。想定ターゲットや素材、投稿内容によって、InstagramやFacebook、あるいはYouTubeなどが適したメディアとなります。しかし、多くの民間企業やtoBのアピールが必要な組織にとって、それらは最適な選択肢ではないこともあります。
欧米の企業や、そこで働いている方々、意識の高いビジネスパーソンに情報を届けたい、ビジネスの機会を広げたい企業には、LinkedInのアカウント運営がおすすめです。しかし、無料のSNSアカウントでありながら、そのポテンシャルを最大限に活用している日本企業はまだ少ないのが現状です。そこで、欧米向けのビジネスにおけるアドバイスとして、すぐに取り組める初心者向けのLinkedIn活用法をご紹介します。
LinkedInはどのような企業におすすめか
こちらのブログでは基本的にグローバル展開を想定しての紹介となりますが、国内向けにも非常に有効なSNSです。特に採用活動に力を入れたい企業にとっては、専門性が高く、グローバル市場を意識している人材を探しやすいため、公式ウェブサイトをリンクとして掲載し、無料で求人情報を掲載できるプラットフォームとして活用できます。さらに、ブログ感覚で投稿できるため、日本語で国内向けに企業のカルチャーや経営理念、SDGsへの取り組み、サービス案内、セミナーや説明会開催の情報など、ビジネスや採用に有効なトピックスをウェブサイトと連携して掲載することができ、日本国内向けの利用も非常におすすめです。
欧米向けのグローバル展開に限って言うと、もちろん英語の公式ウェブサイトが最も信頼できる受け皿となりますが、小規模な英語版ウェブサイトさえ用意すれば、ナレッジベースやブログ、さらにボリュームのあるコンテンツはLinkedInを通じて投稿できます。
特に専門性の高い企業、金融関連、テクノロジーやIT全般、コンサルティング業界などでは、関心の高いユーザーに直接情報を届けることができ、グローバルなコミュニティを築くために最も適したSNSです。また、他のSNSと同様に、ハッシュタグの使用や細かい設定を用いた広告運用も可能なため、さまざまな戦略を導入できるメディアとなります。
まずはアカウントを開設して、英語ベースでプロフィールを設定しましょう
新規のビジネスアカウントを登録するのは非常に簡単で、基本情報やビジュアルなどを用意しておけば、数十分もかからずに設定を完了できます。さらに、英語版のウェブサイトがあると連携がしやすいため、デザインや文言を合わせるのがベストです。小規模でも英語サイトを持っておくことはやはりおすすめです。

見栄えを良くするだけでなく、信頼性を高めるためにも、ロゴやブランドカラーを使用したビジュアルでプロフィールを整えることが大切です。基本情報はLinkedInから求められるため、案内に従うだけでアカウント作成をスムーズに進めることができます。関連会社やクライアント情報があれば追加も可能で、ホームページから実績をアピールできます。さらに、製品情報なども掲載できるため、ウェブサイトと同様の情報をSNSに載せることが可能です。また、自由に記載できる欄もあり、企業のハイライトや最も伝えたい情報をカスタマイズして掲載できます。そのため、目的や使用する戦略に合わせて、簡単に調整でき、どのように力を入れるかによって、ウェブサイトよりも簡単にグローバル展開向けにリアルタイムで調整が可能です。
LinkedIn運用に向けて
ウェブサイトで定期的にコンテンツを掲載し、それをSNSや広告運営と連携させてデジタルマーケティングの戦略を立てることが最も一般的です。しかし、国内向けに行っていても、海外展開に同じだけの力を入れるのはハードルが高い場合もあります。そのような状況になると、機械翻訳を導入したり、そもそもSNS運用を止めたりすることがあり、言い換えれば中途半端な状態に留まってしまう事例も少なくありません。まさにそのような時に役立つのが、LinkedInを活用した戦略です。
もちろん、これから紹介する内容はあくまで一つの提案事例に過ぎないため、すべての企業に当てはまるソリューションではありませんが、英語版や多言語版ウェブサイトを小規模に抑えつつ、グローバル展開を考えている企業向けには、インバウンド向けマーケティングコンサルタントとしておすすめできる提案です。
ブログ形式の投稿メリットについて
まず、さまざまな取り組みの中で、一つ力を入れるべき取り組みを選ぶのであれば、おすすめするのはネイティブライティングを含む情報発信です。その理由を一言で言うと、ビジネス関連の情報において、テキストデータはユーザーに最も届きやすいからです。プライベートでスマホを使ってSNSや他のチャネルから情報収集をしていることが多い中でも、ビジネス面でのリサーチには検索可能なテキストデータが最も強力だと考えられます。(もちろん動画等のエンゲージメント比率も高まっている最中です。)
しかし、単に英語で翻訳した原稿をそのまま発信してしまうと、実際に海外の英語ユーザーが使っている表現や、外国人のビジネスパーソンに刺さる言葉が含まれていなければ、運用の効果が薄れてしまう可能性があります。そのため、英語ネイティブによるコンテンツ作成を推奨します。
LinkedInには他のSNSと異なり、投稿の長さに制限がなく、ブログ形式で投稿が可能です。そのため、SEO対策などのデジタルマーケティングを基本としたコンテンツ作成に力を入れれば、自社の英語メディアがなくても、そのアカウントをプラットフォームとして活用できるようになります。そして、その投稿がGoogle検索結果に表示されることもあり得ます。これにより、SNS内のユーザーだけでなく、ウェブサイトと同様に、検索した全ユーザーに情報を届けることができ、ビジネス機会に繋がる可能性が高まります。
最近では、AIツールを活用しようとする日本企業が増えています。特に、ユーザーは企業が提供するチャットボットよりも、ChatGPTのような生成AIを検索代わりに使う傾向が強まっています。こうしたAIはネット上の情報を元に回答を作るため、企業として最も重要なのは「正確で質の高い情報発信」です。これにより、AIの回答に自社情報が反映されたり、ファクトチェックの際に自社情報が参照される可能性が高まります。
そのため、少々地味に見えるかもしれませんが、英語ライティングを活かした取り組みを行うことをおすすめします。
投稿内容におすすめのコンテンツ
まず、自社の「ナレッジベース」として活用するのはおすすめです。その内容は、自社の専門知識、独自のソリューション、取り組み、SDGsなどの社会貢献活動、さまざまなトピックに関するライティングを行い、海外向けに発信することが可能です。しかし、それだけではありません。もし、すでに国内向けにセミナーやイベントを行っている場合、LinkedInを通じてそのイベントの告知を行い、実施後には海外向けに実績として紹介することもできます。このように、自社の取り組みを積極的に海外向けに発信することで、外国人のビジネスパーソンとの接点を作るだけでなく、ビジネス面でも海外の業者から信頼を得ることに繋がります。
ブログ以外の投稿内容
LinkedInは、WEBサイトと同様のコンテンツ発信を行うだけでなく、SNSとしての特性を活かしたメディアでもあります。つまり、短い投稿やクリエイティブなコンテンツを掲載することも可能です。そのため、長文のブログ投稿だけでなく、週に一度程度のペースで、目を引く画像や映像を積極的に発信することができます。なお、他のSNS同様にハッシュタグの使用などキーワードを活かした対策も可能です。さらに、パートナー企業やその担当者をメンションすることもできるため、投稿に対して相互にリアクションすることで、発信の信用性を高めることもできます。
一つ注意すべき点は、プライベート向けの内容よりも、仕事に関連したプロフェッショナルな内容が響くという点です。具体的な提案が必要な場合、弊社にはLinkedIn戦略担当者が在籍しており、海外向けの展開を予定されている方は、お気軽にお問い合わせください。
広告運営
最後に、無料枠の投稿だけでなく、他のSNSと同様に広告運営も可能です。広告内容にもクリエイティブを作成し、英語でコピーライティングを行ってテキストを設定するなど、従来の広告運営の経験を活かすことができます。しかし、LinkedInはBtoBのプラットフォームでもあるため、BtoB特有の特徴を活かした戦略に基づいてキャンペーンを実施することが可能です。

マーケティング目標や広告内容の詳細設定だけでなく、ターゲット設定の際には、ターゲット地域や年齢層などの基本的な詳細設定に加えて、業種、企業規模、職務など、海外のプロフェッショナルが関わっている分野やその中での役割を絞ったターゲティングができるのも大きな特徴です。
年齢、性別、地域、一般的な項目を除いて、具体的に事例を挙げますと、
下記のような設定が可能です:
業種(Industry) |
ターゲットの業種を指定することができます。例えば、「テクノロジー」、「ヘルスケア」、「金融」など、数十種類の業界から選ぶことができます。 |
職種(Job Title) |
特定の職種をターゲットにすることができます。例えば、「マーケティング担当者」、「エンジニア」、「経営者」など、職種ごとに絞り込むことが可能です。 |
職務内容(Job Function) |
所属している企業の規模によってターゲットを絞り込むことができます。例えば、従業員数が10人未満、100〜500人、5000人以上など。 |
企業規模(Company Size) |
所属している企業の規模によってターゲットを絞り込むことができます。例えば、従業員数が10人未満、100〜500人、5000人以上など。 |
企業名(Company) |
特定の企業名に対して広告を出すことも可能です。例えば、大手企業や競合企業をターゲットにすることができます。 |
スキル(Skills) |
特定のスキルを持った人々に向けて広告を配信することができます。例えば、「Python」「プロジェクトマネジメント」「デザイン」など。 |
学歴(Education) |
学歴(大学名、学位など)でターゲットを絞り込むこともできます。 |
行動や関心 (Interests and Behaviors) |
LinkedIn上での行動履歴や関心を元にしたターゲティングも可能です。例えば、特定の業界に関連するコンテンツを多く閲覧しているユーザーに広告を表示することができます。 |
カスタムオーディエンス |
メールリストやウェブサイト訪問者(LinkedInのピクセルを使って)など、独自のカスタムオーディエンスに対してもターゲティングを行うことができます。 |
このように、LinkedIn広告のターゲティングは非常に詳細に設定できるため、幅広いデジタルマーケティングの実施以外には目的に合わせて精度高くターゲットを絞ることができます。
まとめ
日本ではまだB2B(企業間取引)のSNSとして広く浸透していないLinkedInですが、海外ではビジネスの重要なネットワーキングツールとして確立されています。特に企業の海外展開を目指す際、非常に有効な媒体となります。
LinkedInを使いこなすことで、グローバルな展開を加速させ、ブランドの認知度を高め、潜在的なパートナーやクライアントと繋がるチャンスを広げることができます。日本の企業も、LinkedInを上手に活用することで、世界中のビジネスパーソンと繋がり、新たなビジネスの扉を開くことができるでしょう。
さらに、LinkedInの詳細な運用方法や効果的な活用法、欧米向けの運用代理に興味がある方は、まずはお気軽にお問い合わせください!海外展開を目指すなら、LinkedInを積極的に活用し、グローバルなビジネスチャンスを手に入れましょう。