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外国人観光客が知らない日本の宗教のこと

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Catherine

ライター兼エディターのキャサリンです。

日本各地の観光地を紹介する英文テキストを作成する際、日本の宗教についてほとんど知識のない読者に、どのように宗教的な事柄を説明するかは大きなチャレンジの一つです。
浅草寺などの大きな寺院から、地方の小さな神社まで、日本の観光地の多くは、日本人の多くが文化的な知識を共有しているという前提に立って観光客に情報を発信しています。「縁結び」や「お祓い」といった言葉も、既に多くの日本人が意味を理解しているからこそ、あえてその言葉の意味の説明は省かれています。
しかし、多くの外国人観光客(特に一神教が盛んな国の人)は、そのような言葉を翻訳して伝えても、理解するための基礎知識を有していない場合がほとんどです。このような場合、外国人が外国人の視点から作成した文章に比べ、直訳で作成した文章はあまり意味の無いものになってしまいます。

今回は、ほとんどの外国人が前提知識を有していない日本の宗教に関する基礎的な事柄をいくつか挙げてみたいと思います。今後、一般的な外国人の読者向けに外国語の文章を作成する際、どれくらいの文脈や背景情報を与えるべきかを考えるのに役立つかもしれません。

※この記事では便宜上、「日本に関する前提知識の無い外国の人々」という意味で「外国人」という言葉を使用します。しかし実際には外国籍の人々の中にも、日本で生まれ育った人々や、日本に関する知識を有している人々もいらっしゃることにご留意ください。

日本の宗教は何ですか?

信じられないかもしれませんが、日本を訪れる外国人の中には、日本でどのような宗教が信仰されているのかさえ知らない人もいます。神道や仏教という名前を挙げることはできても、その信仰や実践がどのようなものであるかはほとんど理解されてません。最近では、禅宗の特徴(枯山水や座禅)が西洋諸国で人気を集めていますが、それは日本の仏教のきわめて一部分に過ぎません。

そのため、外国人の読者はこの基本的な知識すら持ち合わせていないことが多いので、背景となる情報を追加することが重要です。
例えば、森の奥にある神社の歴史を説明するとき、「○○さんがここに来て、神社を作った」という説明だけでは、その歴史の重みは伝わりません。読者は「一体なぜ、こんな行きにくい場所を選んだのだろう?」と考えるでしょう。そこで、外国人の読者に背景を説明することで、その神社の創建者がなぜそのような場所を選んだのかを理解してもらえる可能性が高まります。
例としては、「神道では、特に大きくて立派な木や岩は神の宿る場所とされ、霊験あらたかな場所とされる。だから、神社やお寺の場所に選ばれることが多いのだ」といった説明です。これはキリスト教などの宗教にはない概念であるため、このような説明が無いと、外国人にとっては理解が難しい場合が多いです。

鳥居がある場所は神社?寺?鳥居の意味は?
鳥居がある場所は神社?寺?鳥居の意味は?

日本の人々は神道と仏教の両方を信仰している?

キリスト教、イスラム教、ユダヤ教など世界の多くの一神教では通常、信者は一つの宗教だけを信仰するものとされています。実際、歴史上の多くの戦争は、ある宗教の信者が、宗教の違いを理由に他の集団を改宗させたり、征服しようとしたために起こったものでした。そのため、日本人が神道と仏教の両方を矛盾なく信仰している(もしくは信仰していた)ことを知ると、多くの外国人は驚きます。

神仏習合の歴史

多くの外国人と同じように、私も日本に来た当初は、建築やその他の特徴から神社と仏教寺院を見分けることができず、戸惑いました。鳥居やしめ縄など、あるものは神道のものであり、大社造りなどある建築様式は神社で使われているものだと認識していました。
しかし、他の場所では、特に建築のスタイルなど、様々な特徴が混在しているように感じました。明治時代までは神仏習合の寺社が多かったことを知ったのは、それから数年後のことです。
また、現代の日本の文化に仏教と神道の両方の習俗や行事があるのは、歴史の中で両者の間に強い隔たりがなかったからだと考えています。

日本語の標識でよく使われるが、外国人には文脈の説明が必要な概念

複数存在するブッダ:英語では、「ブッダ(仏)」は歴史上の仏陀である釈迦牟尼を指して使われることがほとんどなので、「ブッダ」が複数いると聞くと、多くの外国人は驚くかもしれません。大日如来や阿弥陀如来などの仏はほとんど知られていないので、補足説明が必要です。

・菩薩:仏教をよく知らない外国人は、菩薩が何なのか、観音菩薩や地蔵菩薩が誰なのか、知らないでしょう。仏教寺院の本尊は常にブッダであると思い込んでいて、同じように崇められる菩薩がいることを知ると驚きます。

権現: 神道と仏教が歴史的に融合していたという考え方に馴染みのない欧米の外国人が多いため、権現のような神仏習合を前提とした概念を理解するのは非常に難しいものがあります。この言葉には明確な訳語がないので、通常「権現」という言葉をそのまま使い、その後に説明の文章を付けて読者に理解を促します。

縁結び:現在ではカップルや恋愛を連想させる言葉ですが、もっと本来はもっと複雑な意味のある言葉です。縁結びには、地域社会における人々の絆や、人間関係の強さもすべて含まれます。それらを1語で説明できる英単語がないため、これも文章でその意味を補足します。

御朱印:多くの外国人は、巡札して御朱印をもらうことに興味があるかもしれませんが、この習慣の意味や背景について詳しく知っている人は多くありません。そのため、複数の寺院を訪問することが、次の生まれ変わりに幸運をもたらすと信じられており、御朱印集めはそのための伝統的な慣習であることを説明する必要があります。
また、御朱印は本来、祈祷や読経を依頼するために支払うお金の「領収書」のようなものであることも説明すると、なお良いです。そうすれば、観光客はこの文化を深く理解することができ、観光客・受入側の双方にとってより有意義な観光活動が可能になるでしょう。

最後に

宗教は日本の文化や歴史と深く関わっており、多くの観光名所と結びついています。しかし残念ながら、日本の宗教は、多くの外国人が極めて知識が乏しい分野の一つです。日本独自のユニークな文化が、それを正しく理解するための解説を持たないばかりに、外国人観光客に本来与えるべきインパクトを与えることができていないとすれば、それは非常にもったいないことです。
だからこそ、多言語解説文制作のプロジェクトでは、単なる翻訳ではなく、上記のように必要な情報やコンテクストを取捨選択して補足できるライターを採用し、単純翻訳ではなく、ゼロからライティングで取り組まれることを推奨いたします。

だからこそ、より正しい判断ができる可能性が高い、執筆・編集経験が豊富な、その言語のネイティブスタッフによる作業が必要だと弊社は考えています。

多言語化に関するご相談などがございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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