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欧米豪ユーザーにささる訪日プロモーション動画制作のポイント

ジャパンガイド
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A. Nishio

近年、コロナウイルスによる巣ごもり需要の影響もあり、YouTubeをはじめとする動画プラットフォームの利用者は急拡大しています。観光関連の動画やチャンネルも増加しており、旅行者にとって主要な情報収集源となっています。

前回のブログでも述べたように、観光庁の2019年調査によると、米英豪ユーザーが「旅マエの情報収集において役に立った」と答えたツールとしても、動画サイトは上位にランクインしています。3カ国とも回答率は30%を超えており、全国籍平均(16.0%)、アジア圏の主要3カ国(韓国、中国、台湾)平均(約11%)と比較しても大幅に高い割合になっています。欧米豪ユーザーにとって、動画プラットフォームは最も主要な旅マエの情報収集ツールのひとつであるといえます。

(観光庁:「2019年年間値の推計」※確報値 参考11国籍・地域(21区分)別 訪日旅行に関する意識 (満足度など))

では、実際に欧米豪にささる動画とはどのようなものでしょうか。今回は、欧米豪ユーザーに人気な動画コンテンツ、カバーすべきポイントについて解説します。

欧米豪向け訪日プロモーション動画制作のポイント

 

・メジャーな観光スポットをおさえる

欧米豪圏の訪日旅行客は、日本との距離が遠いこともあり、初めて日本を訪れる層が大部分を占める傾向にあります。実際に観光庁が2019年に行った調査では、日本を訪れた欧米豪圏の訪日客のうち、来訪回数が「1回目」と回答した人は、全体の約7割を占めています。そのため、多くの欧米豪圏の訪日旅行者にとって、定番のスポットやエリアは外せないコンテンツといえます。

よって、日本のメジャーな観光地として知られる「東京」や「京都」、「大阪」、「箱根」などのエリアをテーマにした動画は高確率でかなり人気な動画になる傾向があります。

一方で、外国人観光客にあまり知られていないローカルなエリアを紹介する動画の場合、知名度が低い分、当然メインエリアほど劇的に人気な動画となることは難しいかもしれません。そこでカギとなるのが、周辺の人気なスポットやランドマークを組み込んだ動画構成になります。

ジャパンガイドで2020年に公開した、中部エリアの旅程紹介動画がその一例として挙げられます。

4エピソードにわたって中部エリアの5県を周遊するシリーズ動画で、中でも名古屋市~伊勢~英虞湾を巡る旅程を紹介したエピソード1が最も人気の動画となっています。ここでは、中部エリアの中で最も人気な観光地のひとつである「名古屋城」を定番スポットとして紹介をすることで、幅広いユーザーからの関心を集められたと考えられます。

地域プロモーションおいては、すでに認知度が高いスポットよりも、目新しいスポットの紹介を優先しがちになってしまうかもしれません。しかし、しっかりと「定番」の見どころをおさえることで、より周辺スポットの認知度の向上につながる効果的な情報発信ができると考えています。

中部地方を3泊4日で周遊するシリーズ動画 エピソード1(「4-Day Road Trip Across Central Japan: Episode 1」)

 

主要都市を起点とした旅程の提案

欧米豪をはじめとする多くの訪日外国人が抱える悩みとして、「主要都市以外にも行ってみたいが、具体的にどこに行けばいいのかわからない」という声がよく聞かれます。そのため、東京や大阪、名古屋などの大都市を拠点として周辺の都市を旅する行程紹介動画は、多くのユーザーにとって有益で需要の高い動画となります。

ジャパンガイドで今年の1月に公開した新潟県の動画はそれを象徴する一例です。

Rural Japan near Tokyo(東京近郊の日本の田舎)」をテーマに、2泊3日行程で新潟県の越後妻有や佐渡を周遊する動画となっており、掲載から約3カ月で再生回数は6.5万回(※2022年4月時点)とチャンネルの中でも人気の動画になっています。

一般的に知名度がまだあまり高くないエリアではありますが、テーマを明確化することで多くのユーザーの興味を惹くことができたと考えられます。また、アクセスの利便性・交通情報などを詳細に紹介することで、訪日初心者層にはややハードルの高いローカルな地域でも、より身近に感じてもらうことができ、来訪者の増加につながると推測されます。

新潟県内を2泊3日で周遊した動画(Finding Rural Japan in Niigata Prefecture
マップを活用し、路線やアクセス方法を紹介

また、滞在日数がアジア圏などの旅行客に比べて長い傾向にある欧米豪圏の旅行客向けに、首都圏を起点とした長距離間(=複数の都市間を周遊)の旅程紹介動画も人気のあるテーマとなっています。

東京~京都を周遊した動画(「3 Day Trip from Tokyo to Kyoto via Hakone」)

 

・実際にコピーできるスローペースな動画構成

ジャパンガイドユーザーの傾向からも見られるように、欧米豪ユーザーの多くは、訪日旅行の際にそのままコピーができる行程紹介動画を好む傾向にあります。

動画制作において、できる限り多くのスポットやアクティビティを盛りこみたくなるものです。しかし、取り扱うスポット数が多いほど、浅く広い内容になってしまい、実用的な情報を求める欧米豪ユーザーにとって有益な動画とは言えなくなる場合があります。

紹介するコンテンツを選定することで、より質の高い情報をユーザーに提供することが可能になります。各スポット(エリア)の歴史的背景や文化的要素を詳しく紹介することで、視聴者の個々の興味を高めることができ、結果として実際の訪問確度が高まると考えられます。

 

・視覚的に魅了する「日本らしい」映像の提供

一般的に海外ユーザーがもつ、東京や大阪などの「都会的な日本」とは対照的な「伝統的な街並みや建造物」の映像は、魅力的で視聴者を惹きつける要素になります。

日本らしい町並み風景(「Yoshino and the traditional town of Imaicho」)
上高地の美しい自然風景(「Food Replicas & Hiking in Central Japan」)
 

また、日本の自然を楽しむコンテンツとして、「四季の体感」も人気のアクティビティです。桜や紅葉など季節に関連したテーマ・スポットは、訪日外国人にとって最も人気なトピックのひとつです。撮影時期が限定されるといった難点もありますが、それぞれのシーズンに合わせて人気の名所やアクティビティを織り交ぜた構成にすることで、より視聴者の関心を惹くことができると考えられます。

吉野山の桜の風景(「Yoshino and the traditional town of Imaicho」)
 
紅葉の名所として十和田湖を紹介した動画(「One of the Best Autumn Spots in Japan, Lake Towada」)

 

このように、欧米豪向けのインバウンドプロモーションにおいて、動画プラットフォームの活用、またユーザーの需要をカバーしたコンテンツ制作が重要となってきます。また、認知度の低いエリアの紹介動画であっても、ポイントをおさえた動画構成を意識することで、人気な動画(いわゆるバズり動画)になる可能性はおおいにあります。「ユーザーの視点に立ち、有益かつ質の高い情報を提供する」ことが動画制作のカギになるのです。

 

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