ネイティブに通じない「和製英語」
ローカライゼーションこんにちは。ライティングチームの佐藤です。
今日はエディターのキャサリンより、
「和製英語」と「本来の英語」の違いから生じる誤解について、例を交えながらご紹介いたします。
「和製英語」が、英語と日本語での使われ方に違いがあることは、多くの日本人が知っていることです。
しかし、英語の単語やフレーズの代わりに、和製英語をそのまま使ってしまうと、外国人が不快に感じたり混乱したりすることを、ほとんどの人は気づいていないかもしれません。
例えば、日本の街角にある美容室の前では、「Menu」と英語で書かれた看板を目にすることがあります。通常、英語で「menu」は、レストランやカフェの食事のリストを示しています。そのため、道をゆく外国人はそれがレストランなのか、サロンなのか、混乱することがあります。または、その意味の間違いを笑いのネタにするかもしれません。どちらにしても、外国人にとってそのサロンの印象は良いとは言えません。
もちろん、そのサロンは主に日本人にサービスを提供していますので、日本人のお客さんは「メニュー」という言葉が、ここでどのように使われるか理解しています。しかし、企業や観光地が外国人向けに英語の文章を作成する場合は、このような用語を正しく使うことがとても重要になります。
今回は、「和製英語」と「本来の英語」用語の違いから生じる誤解の例を、いくつか挙げてみたいと思います。
日本語スピーカーの意図 vs 英語スピーカーの理解:
バイキング vs. Viking
VS
この「バイキング」という日本語用語は、英語圏の人たちにとって全く違う意味となり、混乱させてしまう分かりやすい例です。
英語のネイティブスピーカーの間で「食べ放題」は、「buffet」または「all-you-can-eat restaurant」と呼ばれています。
ペンション vs. pension
VS
現代の英語では、高齢者が定年退職後に受け取るお金を「pension」と呼んでいます(日本の「年金」にあたります)。
日本の国立公園の中で「ペンション」と呼ばれる宿をよく見かけますが、最初はとても戸惑いました。
状況にもよりますが、英語では「lodge」や「bed and breakfast」と呼んでいます。
一方、「hotel」は日本語の「ホテル」よりも、もっと広い意味を持っています。
「hotel」という言葉は、高いモダンなビジネスホテルからペンションや旅館まで、宿泊施設全般を表しています。
そのため、日本語でそれらを「ホテル」と呼ぶのはおかしくても、英語で旅館などをすべて「hotel」と呼ぶのは間違ってはいないのです。
アスレチック vs. athletic
VS
日本では、キャンプ場やレクリエーション施設にある障害物コースや遊び場を「アスレチック」と呼びますが、
英語でこれらを「athletic」と表現することはできません。
これらは通常、英語で「obstacle course」や「jungle gym」と呼ばれています。
「athletic」は、スポーツ選手や定期的に体力を鍛えている人を表す、形容詞としてのみ使用されます。
カモフラージュ vs. camouflage
VS
ライチョウに関する英文の中で、冬の白い鳥の色に対して、
『「camouflage」という言葉を使わないでほしい』というご要望をいただいたことがあります。
これは恐らく日本人にとって「カモフラージュ」という言葉が、茶色や緑の模様、あるいはジャングルの中の狙撃兵を連想させるためだと思われます。
しかし、英語の「camouflage」の意味はもっと広く、人や動物の色(時には行動)を利用して、周囲に溶け込む状況を表現しています。
英語のテキストでは、あらゆる種類の保護色を表現するためによく使われています。
カラフル vs. colorful
VS
ある英語解説文を作成していたとき、“冬の雪の上に、赤唐辛子を放置して乾燥させる様子”を説明する文章で、その様子を 「colorful」と表現しました。
それを見た日本人の方より『赤一色に「colorful」という表現は適切でしょうか?』と疑問を投げかけられました。
「カラフル」は様々な色を表しますが、英語の「colorful」は色のない背景の中で目立つ、強い一色を表すことができます。
そのため、上の写真を表現するときは、「the person carried a colorful umbrella」 や、
「the berries were a colorful highlight of the winter forest scene」と言ってもおかしくはないのです。
このように、和製英語が必ずしも英語のスピーカーにとって、正しい意味や印象を与えるとは限りません。
そのため、私たちネイティブのコンテンツプロデューサーは、「和製英語」と「英語単語の使い分け」の違いを解釈しながら、適した英語に修正しています。
これは訪日外国人に、スムーズで自然に、英文を読んでもらうための方法でもあります。
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