VIPコードリーダー
アクセシブルコードVIPコードリーダーは、視覚に障害がある方々(Visually Impaired People)の利用に特化したQRコードリーダーです。
現在のスマートフォンには、障がいを持つ人が使用し易いように(iPhone、Androidそれぞれで)アクセシビリティを高める機能があり、その設定を行う事によってスマートフォンの画面上にあるテキストを音声で読み上げる事が可能です。(以下はiPhoneによるVoiceOverの設定方法)
実際に、国内の視覚障がい者のICT機器利用に関する調査でも、2013年から2017年の間に視覚障がい者によるスマートフォンの利用割合は倍増しています。
つまり、スマートフォンに表示されたテキスト情報であれば、視覚障害の有無に関わらず、そこにある文章を音声で聞くことは可能です。それでは、目的の情報をスマートフォンでテキスト表示させる為にどのような方法が取れるでしょうか?
視覚障がい者が自分で必要な情報を得ようとする場合、Siriなどを使ってスマートフォンの音声検索を利用することも出来るでしょう。但し、日常生活の中で接する書類や、店頭の商品情報などを知りたい場合、身近な人にお願いして読んでもらうという行為が必要になります。しかし、そこにQRコードが付いていれば、自分自身でスマートフォンに付属しているQRコードリーダーを使って読取り、ボイスオーバー機能(AndroidではTalkBack機能)を使って音声で情報を受取ることが可能です。その事が、NEDOの支援の元、弊社が日本全国の視覚障がい者支援団体と協力して行った実証試験によって明らかになりました。
但し、その為には以下の3つの条件が必要でした。
- ① 通常の採光が取れた場所であること
- ② QRコードが一定以上の解像度と大きさで印刷されていること
- ③ 印刷物のどの辺りにQRコードがあるかを認識できること
上記の①については外的要因に左右されますが、②と③についてはある種の基準を定めておくことによって解決が可能です。そして、その基準については、書類等の平面の印刷物の場合と、商品等の立体的な印刷物の場合とで分けて考える必要があります。
現在提唱されている方法では、書類等の平面的な印刷物の場合、その右下を1cm角程度でカットし、その近辺にQRコードを配置する(下写真例の)ルール設定により、紙の裏表の認識も併せて可能になります。この方法は、簡易に加工が実施でき、触った時も明確な違いが認識できるという利点に加えて、すでに海外でも、カナダ人デザイナーのDavid Berman氏によりBerman Cornerという名称で同様の手法が提案されています。
一方、商品包装物などの立体的な印刷物の場合は、QRコードがある場所の四角に点字状の突起物をつけるか、QRコードが印刷された箇所全体をデボス(凹部)加工する方法(特許申請済み)が有効であるという事が、前述の実証実験からも明らかになりました。この仕様は、別途 Accessible Code(アクセシブルコード)という名称で、商品包装物をユニバーサル対応させる新たなサービスとして展開されています。
そのような外的環境の中で、視覚障害のある方々からお話をうかがうと、現在、世界で普及している各種のQRコードリーダー(アプリ付属のものも含む)が必ずしも使いやすいものでは無いという意見が多くありました。そこで弊社独自でも、視覚障がい者の利用に特化したQRコードリーダーアプリを自社開発し、多言語で世界中に無償提供する事にしたのです。
このVIPコードリーダーと、視覚障害者にも利用しやすいQRコードの普及によって、世の中の情報バリアフリー化が推進されることをサポートしていきます。